日本臨床微生物学会

ガイドライン・提言

IV.多剤耐性菌を判別するための各種検査法とその注意点 - 3)Etest

西神戸医療センター臨床検査技術部
山本  剛

3)Etest

 E-testは寒天培地を用いて簡易的にMICを測定する試薬である。ストリップ状に抗菌薬が塗布されており、2倍希釈の連続した15段階の濃度勾配でMICを簡易的に測定出来る。判読は、寒天培地には阻止帯が形成され、MICはその最下点を判読することで判る。
 しかし、ディスク拡散法のように1枚の寒天培地で数個の薬剤感受性が出来ず、100mmのMuller Hinton agar(MHA)でE-testを判定する場合はMHA1枚が限度である。そのため、コスト高となる可能性もあり、測定する抗菌薬は選択して検査する方が効率的である。また、MICを判読する場合、MICの刻みが細かく、従来のMIC値の中間値を判読する場合もある(例えばMIC1.5μg/mlなど)が、その場合の判定は、MICの高い方の値を採用する。また、MICを簡易的に測定するため、微量液体希釈法よりも高めに結果が出る抗菌薬もある。菌種と抗菌薬の組合せを含めて注意し判定することが必要である。
 薬剤耐性菌の検出用として、クラブラン酸やEDTAの合剤が添加されているものがある。クラブラン酸はESBLs検出用、EDTAはMBL検出用でありそれぞれ、セフェムやカルバペネムとの合剤で測定可能である。測定結果はクラブラン酸やEDTAが添加されている方で3管差MICの下降が見られる場合に陽性と判定出来る。また、低いMICの付近には一部菌の発育阻害が確認されるところがあり、ファントム現象やディフォーメーション現象と呼ばれる1)図1)。

参考文献

  1. A. Y. Peleg, H. Seifert, and D. L. Paterson.2008. Acinetobacter baumannii: Emergence of a Successful Pathogen, CLINICAL MICROBIOLOGY REVIEWS, July,p. 538–582.

(2011.2.25更新)

最終更新日:2021年11月4日
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