日本臨床微生物学会

学会について

Institut Mérieux2023年度 Young Investigators Awards(若手研究者賞)受賞者発表

Institut Mérieux2023年度 Young Investigators Awards(若手研究者賞)

受賞者:上蓑義典(慶應義塾大学医学部 臨床検査医学)

Young Investigators Awards(若手研究者賞)は、当会に所属する有望な若手研究者または臨床医を対象に、AMR・感染症の診断に大きく影響を与える重要な功績に対して、Institut Mérieuxより授与されるものです。受賞者には表彰状と研究費10,000ユーロが与えられます。
 2023年2月4日に開催された第34回日本臨床微生物学会総会・学術集会の会務総会において授与式が行われましたので、Institut Mérieux からの祝辞をご紹介します。

祝辞

 2015年以降、Institut Mérieuxは、特定の戦略的テーマで大きな成果を上げた若手研究者(微生物学者または臨床医)に賞を授与し、新たな研究を支援することを目的としたプログラムを開始しました。本賞の授与にあたり、選考プロセスの透明性と客観性を確保するため、独立した委員会によって、事前に選出された候補者の中から選ばれます。これまでに25カ国以上から100名以上の受賞者が誕生しています。今後、数年間の若手研究者賞の優先テーマは、抗菌薬耐性、敗血症、グローバルおよび熱帯感染症、マイクロバイオータと栄養および疾患との関連など、主に感染症に関わるものです。
 2023年の第5回 Institut Mérieux -JSCM共同賞の受賞者である上蓑義典先生を簡単に紹介いたします。上蓑義典先生は、2007年に慶應義塾大学医学部を卒業後、2020年に博士号を取得しました。現在は、慶應義塾大学医学部臨床検査学医学教室の専任講師です。抗菌薬耐性に関する主要な研究により、共同研究者とともにFRI-4と-5と呼ばれる2つの新しいカルバペネマーゼを発見し、日本におけるAMRの出現と拡散を地域社会に警告しました。また、臨床検査室の自動化を進め、微生物検査結果の報告システムを改革しました。その結果、慶應義塾大学病院は、日本で初めて完全自動化された臨床微生物検査システムを稼働する大学病院となりました。さらに、β-ラクタマーゼ阻害剤に対する緑膿菌の耐性メカニズム、人工知能を用いた微生物検査の開発、日本における臨床微生物検査室間のネットワークの構築、非結核性抗酸菌(NTM)の新たな検出法を開発するプロジェクトなどにも携わっています。主に第一著者として、質の高いジャーナルに多数の論文を発表してきました。以上のように、この賞は上蓑義典先生にふさわしいものであり、大変嬉しく思います。

 

最終更新日:2023年7月7日
このページの先頭へ